“武器になる哲学”①ビジネスで使える哲学とは?

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“武器になる哲学” 山口 周

ビジネスパーソンが学ぶべき「哲学」について書かれた本です。

1.【ビジネスパーソンが哲学を学ぶ意味①】状況を正確に洞察する

いま世界で教育革命と言われる流れが進行していますね。フィンランドのそれが最も有名ですが、例えば年次別のカリキュラムを止めてしまう、強化別の授業をやめてしまうという流れです。日本で育った私たちからすると、学校の授業といえば、同じ年齢の子供が教室に並んで、同じ教科を同時に勉強する、というイメージが強く、フィンランドで採用されているこのシステムは奇異に聞こえるかも知れません。

ところが、弁証法という枠組みを用いて考えてみると違う理解が立ち上がってくる。それは「新しい教育システムが出てきた」ということではなく、「古い教育システムが復活してきた」という理解です。

 

《弁証法とは?》

ある主張=A

Aに反対する、あるいは矛盾する主張=B

その両者を否定することなく統合する新しい主張=Cに進化する

という思考のプロセス

 

この時、この統合進化は直線上ではなく、「らせん状」に行われることになります。要するに「発展」と「復古」が同時に起きる、ということです。

ある一定の年齢になった子供を同じ場所に集めて、単位時間を区切って同じ教科を学ばせるという、私たちが慣れ親しんでいる教育システムは、明治時代の富国強兵政策のもとに、大量の子供に工場のように教育を施すために編み出されたシステムです。人類は誕生以来、ずっと子供の教育をやってきたわけですから、その歴史は数万年の長さに渡ります。現在の教育システムというのは、この長い歴史の中に置ける極めて短い期間に採用されているだけの、言ってみれば例外的なシステムなんです。

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2.【ビジネスパーソンが哲学を学ぶ意味②】批判的思考のツボを学ぶ

過去の哲学者が向き合っていた問いは、主に二つ。

・「世界はどのように成り立っているのか」という”What”の問い

・「その中で私たちはどう生きるべきなのか」という”How”の問い

まだ決定打と言える回答は、アリストテレスの時代から出ていない。

哲学の歴史は「提案⇨批判⇨再提案」という流れの連続で出来上がっている。「自分たちの行動や判断を無意識のうちに規定している暗黙の前提」に対して、意識的に批判・考察してみる知的態度や切り口を得ることができる、というのも哲学を学ぶメリットの一つとして挙げられると思います。

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3.【ビジネスパーソンが哲学を学ぶ意味③】アジェンダ(=課題)を定める

イノベーションは、社会が抱えている「大きな課題」の解決によって実現されていますから、「課題設定」のないところからイノベーションは生まれません。イノベーションの停滞が叫ばれる最大の原因は、「アイデア」や「創造性」ではなく、そもそも解きたい「課題=アジェンダ」がないということ。イノベーションとは、常に「これまで当たり前だったことが当たり前でなくなる」という側面を含んでいます。「常識を捨てろ」「常識を疑え」という指摘をするならば「なぜ世の中に常識というものが生まれて、それが根強く動かし難いものになっているのか」という論点についての洞察が必要です。

自分の持っている知識と目の前の現実を見比べてみて、普遍性がより低い常識、つまり「いま、ここだけで通用している常識」を浮き上がらせる。スティーブ・ジョブズは、カリグラフィーの美しさを知っていたからこそ「なぜ、コンピューターフォントはこんなにも醜いのか?」という問いを持つことができました。目の前の世界を、「そうゆうものだ」と受け止めてあきらめるのではなく、比較相対化してみる。そうゆうことで浮かび上がってくる「普遍性のなさ」にこそ疑うべき常識があり、教養はそれを映し出すレンズとして働いてくれます。

 

“武器になる哲学” 山口 周より、

一部抜粋し、要約させていただきました。どこか古めかしいイメージのある”哲学”をビジネス的な切り口で紹介する本書。わりやすいたとえで説明してくださっていて、読みやすいです。ビジネスに取り組んでる方だけでなく、誰にとっても日常で生かせるような知恵が詰まった一冊だとおもいます。日常生活でたまに耳にするけど、なんだかむずかしい言葉のおさらいにも◎次回は、ロゴス、ルサンチマンなど、哲学のエッセンスをご紹介します。

文 natte

写真 Keisuke Nakamura

撮影場所 北海道