“2020年からの教師問題”

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「2020年からの教師問題」石川一郎 より

2020年から始まる教育改革。正解のない問いを授業で取り上げる授業が始まります。

「もし、地球が東から西に自転していたとしたら、世界は現状とどのように異なったと考えられるか、いくつかの観点から考察せよ」(2014年東京大学理科一類「外国学校卒業生特別選考」出題、小論文問題より)

これは、実際の東大の入試で出された問題なのだそうです。地球が逆回転する、ということは歴史上ありえないことです。答えはないし、想像力を使って回答しなければならないでしょう。

「正解のない問い」に対しての思考力を身につける授業は、今までの暗記型の教育ではほとんど扱われてきませんでした。当然、教師たちも学校で習ったことなどありません。

今回の教育改革は、子どもたち以上に授業する教師たちにとって難題といえるかもしれません。

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「知識の吸収」から、「知識の活用」へ

現状の教育は、「多様な考えを認めていきましょう」という段階で止まっています。今後は、たとえ180度異なる意見が同時に存在していても、お互いが納得できる最適な答えを見つけるという、多様性を推進するよりずっと高レベルな能力が求められるでしょう。

最適解を見つけるための教育が求められていくのです。

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〜必要な三つの力〜

①課題解決に向けて協働する力

②自分の考えを表現する力

③クリエイティブな思考力
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日本が取り入れるべき海外の教育モデルとは?

▶︎アメリカ合衆国 “クリティカルシンキング”

「本来考えるべき課題を押さえる」

「論理の前提を疑う」

「思考の偏りに気づく」

国民全員で大統領を選ぶ、大統領選が象徴的なアメリカ。曖昧なニュアンスから察し、相互理解をするという気風が日本にはあります。しかし、異なる文化圏の人たちと共に働き、暮らしていかねばならない社会では、「察する」ということが難しくなってくるかもしれません。

自分の頭で考え、自分の意見を持ち、コミュニケーションをしていく必要性が出てくるでしょう。

▶︎フィンランド”個の想像力を伸ばす教育”

創造力。「今までにない〜を考えよう」という問いに対して答えを出す力。教科の枠組みを越えて興味があることを調べたり、表現して、発表する総合学習が世界でも注目を集めるフィンランド。個人の成長スピードに配慮しながら、自由でのびのびと想像力や創造力を養う教育の特徴があります。

▶︎フランス”哲学の必要性”

生きることや、世界の成り立ちそのものを問う哲学。毎年6月にフランスでは、バカロレアと呼ばれる大学入学資格を手に入れるための国家的統一試験が実施されます。バカロレアの試験は5日間続くのですが、初日の受験科目は毎年、哲学と決まっているそうです。どの専攻でも必須科目で、全員が必ず受験します。

「自分の過去が自分を形成したのか?」

「芸術作品には常に意味があるのか?」

「個人の意識はそれが属する社会の反映でしかないのか?」

こちらが問題の一部だそうです。抽象的な明確な答えのない問いばかりですね。

 

日本の教育にも良さがあり、歴史があります。海外が正しいということではなく、良いエッセンスは取り入れていこうという姿勢を著者は伝えています。

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指導者が「教え導く者」だとすれば、先生は「先に生きてる者」。

旧来の教育のように正解やゴールを教え導くのではなく、子どもたちにとって学び場を提供するという在り方が、教師だけでなく、子どもたちが過ごす多くの場で必要になってくるのかもしれません。

 

「2020年からの教師問題」石川一郎 より

 

写真 Keisuke Nakamura

文・まとめ natte