シュタイナー学校の先生のおはなし

シュタイナー教育イベント-waya

「意志、感情、思考のなかで、自分にとってもっとも強いと思うものは、なんですか?」

おはなしは、そんな問いから、始まりました。

1919年にドイツで生まれ、今年100周年を迎えるシュタイナー教育は、歴史の年号を暗記をしたり、与えられた数式から解を出すような、現代の一般的な教育とは異なるアプローチをとっています。

文章で読むよりも、実際に授業を体験したり、シュタイナー学校の教師から直にお話を聞き、エッセンスを味わうことで「じぶんの心で感じられること」があると思うので、ここで詳細を記すのは控えさせていただき、わたしが感じたことを、書きたいと思います。

洞爺湖からシュタイナー学校の先生をお招きし、札幌のWaya Guest House & Shared Loungeでトークイベントを開催しました。40名の方が参加してくださり、楽しく、熱気溢れる夜になりました。

今回のおはなしを聞いたのは、わたしは、2回目になります。ウェブメディアの取材のために、北海道洞爺湖のそばにある豊浦町のシュタイナー学校を訪れ、子どもたちの作品や卒業発表を見させていただく機会がありました。

そのとき、シュタイナー教育が伝えようとしていることは、きっと現代社会を生きる多くの人たちにとって大切なことが詰まっている、と感じました。自分の内側で、ほつれていたなにかが結ばれていくような不思議な感覚があり、この体験をぜひ友人たちにも体感してもらいたい、と思ったりしました。

⇨暮らしを豊かに育む力とは〜心と身体と社会を結ぶ、”シュタイナー教育”を訪ねてみよう!〜キナリノ

シュタイナー教育イベント-waya

はじめてシュタイナーのことを知ったのは、15歳のときでした。アートとデザインを学ぶ五年制の札幌市立高専(現・札幌市立大学芸術の森キャンバス)で、絵や建築の勉強をしていたときに、図書館でシュタイナーの本と出会いました。

色彩学、建築学、オイリュトミー、神智学、政治学、オーガニック農法、占星学。そして、子安美知子さんの本をきっかけにシュタイナー教育のことを知って興味をもち、シュタイナー教育に関する本を探してきては読んでいました。

わたしは、祖父が小学校の校長先生をしていたため、幼少期から「学校の先生になりなさい」と言われながら育ちました。今、絵やデザイン、文章を書く仕事をしていますが、もしそちらの道に進まなければ、教師になろうと考えていました。若いうちに、たくさんの人に触れて世界をもっと知りたいという思いがあり、一度芸術やデザインの世界から離れ、20代前半の頃は、幼児教育を学び、たずさわっていたりもしていました。

たくさんの素敵な教育方法がありますが、教育に限ることなく、多岐に渡り言葉の残したシュタイナーには、ずっと心惹かれるものがありました。

あたまのなかで想像をしていたシュタイナー教育に実際に触れてみて、シュタイナーは、100年先の「今の時代」を想定しながら、教育理論を作っていったのではないだろうか?と思ったりもします。

シュタイナーが生きていたのは、1861-1925年。オーガニック農法の最初の提唱者と言われているシュタイナーですが、彼の時代において、オーガニック農法を主張する必要があったのだろうか?ということをずっと疑問に思っています。農薬の開発が進み、問題になるのは、もっとずっと先の歴史ではないだろうか?と。

オーガニックが注目され、一般に広く浸透するようになったのは、記憶に新しいことです。「共感」「身体で感じ、思考すること」「美と調和」を体験を通して学ぶシュタイナー教育が本当に理解され、求められていくのは、これからの時代のような気がしています。

子どもたちと接していると、情報処理と画像認識能力が高く、言語を巧みに使うことができる身体能力も高い子に、たくさん出会います。しかし、心と身体と知性のあいだで、バランスのとりかたに迷っているような様子を見かけることがあります。

いつの時代もそう大差はないことかもしれませんが、「心と思考と身体のバランスを繋いでいく」ということは、ひとつのキーワードとして、とても大切なことのように思うのです。

誰かと自分を比較すること、気持ちや思考の表現の仕方、ともだちや大人に自分を合わせることへの違和感。その背景には、インターネットやSNSが普及し、情報過多になりながらも「共感力」が重要視される私たちの社会の状況が見え隠れしているようにも思います。

子どもたちだけではなく、大人たち自身もまた、心・身体・思考と過剰な情報のなかで、バランスのとりかたがわからなくなっている人も多いのではないでしょうか。

シュタイナー教育イベント-waya

人のカラダのなかには、調和する力があります。起きて、眠り、病気になったり怪我をすれば回復をするという調整力が、カラダには本質的に備わっています。

四季が巡る自然のサイクルのようなリズムが、私たちのカラダのなかにも流れているのに、現代社会はそのサイクルを無視して進んでいるような状況が、大いにあるように感じます。

環境に対して、順応するのが、生き物としての生存本能。

しかし、順応力が許容量を越えてしまうと、バランスや体調を崩します。

「自分らしさ」や「好きなことを仕事にしよう」というキャッチコピーが溢れる社会の中で、どのように自分自身を見つめれば良いかわからず困っているかたに出会うことがあります。私たち多くの大人は、学校で自分自身の内面の見つめかたを学んできませんでした。型を学び、模倣し、順応する、という教育が、日本の教育に基礎になってきました。

2020年より、教育改革が起こり、自発的に学ぶアクティブラーニングが始まります。

「2020年教育革命」のメモ

“2020年からの教師問題”

これからの社会では、教育も多様化していくことでしょう。どの教育が良い、という議論ではなく、それぞれの良いエッセンスを学び、柔軟に取り入れていく姿勢が大切になっていくと思います。

様々な教育手法が存在しますが、私たちの心も身体もひとつであり、原理原則は世界共通です。人種や歴史が違っても、私たち人間の身体に大きな差はありません。

手法そのものに目を向けるのではなく、物事の本質に流れるものを分析し、感じとる力を育むことが、今、私たち大人に求められているように感じます。

今回のイベントのあと、「自分の内側で発見があった」という参加者の言葉に触れ、とても嬉しく思いました。

イベントのなかで、

「どうすれば、教育や日本がよくなるだろう?」

という質問に参加者たちが答えていく場面があったのですが、印象的だった言葉は「まず私たち大人が変わること。」

学ぶことは、子どもたちだけの特権ではなく、大人たちみんなにとって、大切なことです。

知識をつけて、スキルを磨くことも、仕事をしていくうえではもちろん大切なことですが、体験を通し発見することだったり、内側に向き合う作業は、とても素敵な経験になるのではないだろうか?とあらためて感じる良い機会になりました。

今回のイベントは理論が中心でしたが、より体験型の大人向けの授業を受ける機会をつくりたいという話をしたりもしていて、楽しみです。

今回、ご参加いただいたみなさま、本当にありがとうございました。またなにかしらの機会をつくりたいと思っているので、興味がある方は、ぜひ楽しみにしていてください!

究極のアクティブラーニング『シュタイナー教育』 〜世界で100年・北海道で20年の歴史と共に〜

2019年7月30日(火)19:00-21:00

場所:Waya Guest House & Shared Lounge

シュタイナー教育イベント-waya

文 natte