湯川寺の副住職・筒井 章順さんのお話

湯川寺-筒井章順さん

( 開催日 : 2019年5月22日 / イベント主催 : HAM )

北海道には月参りという風習があり、朝早くお参りに行っています。

これはあるとき、月参りに行ったときのお話なのですが、そのお家のおばあちゃんが「数珠がない、数珠がない」とずっと数珠を探しているんですけれど、なかなか見つからないんですよ。

「おばあちゃん、数珠ないのですか?」と一緒に探していたら、「あ!あったー!!」というので見てみたら、数珠を手の中に持っていたというのです。

「大事なものは、案外すぐそばにあるものだね。」

と笑いあいましたが、今日は、そんなお話をしていきたいと思います。

湯川寺-筒井章順さん

わたしは、函館の湯川(ゆのかわ)にある湯川寺(とうせんじ)の副住職の筒井 章順、32歳です。お坊さんの名前は「しょうじゅん」、普通の名前は「あきのり」と呼びます。

肩書きはたくさんあるのですが、少し変わったものでは、ギターを入れた法話をしてます。歌の歌詞の一部をテーマにお話をして、最後にギターで一曲弾き語りをする活動をずっとしております。

お坊さんになったのは、9年前。お坊さんってなんなんだろうな?と考えた時期があります。そんなふうに悩んでいるときに、ある歌に出会いました。

それが高橋優さんの「福笑い」でした。

きっとこの世界の共通言語は

英語じゃなくて笑顔だと思う

笑う門に訪れる何かを

愚直に信じて生きていいと思う

誰かの笑顔につられるように

こっちまで笑顔がうつる

魔法のように

理屈ではないところで僕ら

通じ合える力を持ってるハズ

あなたがいつも笑えていますように

心から幸せでありますように

それだけが世界の全てで

どこかで同じように願う 人の全て

お寺にはいろんな宗派があるけれど、うちのお寺は浄土宗で南無阿弥陀仏を唱え、死んだら極楽浄土へ行くと決まっているのですね。

この曲を聴いて、「生きてるときに、どれだけ笑って、良いことをして、楽しめるかが大事だ。」と強く確信したのが、わたしのお坊さんとしてのお寺づくりのスタートになりました。

「和顔愛語」(わげんあいご)という言葉がありますが、読んで字のごとく「笑顔と優しい言葉かけることが、大切なことですよ」という意味があります。

この言葉を元に、湯川寺(とうせんじ)のことを少し紹介していこうと思います。

湯川寺(とうせんじ)は、函館湯の川3丁目にありまして、開基128年経つお寺でございます。新聞などでもいろんなことをやってる寺として取り上げられていますけれど、むかしからそうゆうお寺だったんです。

うちのおじいちゃんが、戦争(※第二次世界大戦)のあとに子どもたちに日曜学校幼稚園をしたり、大人の方には青年会や婦人会など、地元の人たちが集まる場をお寺を通してつくっていたんですね。

父の代でも、毎月一回・お寺での催しを35年間続けてきました。お花見があったり、運動会をやったりと、いろんなことをしておりました。

そうゆう環境だったので、お寺というものは、こうゆうものなんだなぁと思って育ちました。

仏教の大学へ行き、東京のお寺で修行をして函館に帰ってきたら、なんだか様子が変わったなぁと感じました。

函館の不景気・高齢化があって、「幸福度が最下位」ということにショックを受けました。魅力的なまちランキングで一位なんですけども、市民の幸福度はなぜか最下位。これは、まずいなぁと思いました。なんとなくまち全体が死んできてるなぁというイメージを持ち始めたんです。

そんな時に、東日本大震災が起こりました。

わたしは、お坊さんとして何ができるかと考えてみたのですが、黙っていても何にも始まらないと思い、被災地の岩手県に行きました。このとき一緒に行ったメンバーの人たち30人くらいとボランティア団体を立ち上げたんですね。自分が一番若いという理由でリーダーを任されました。この経験を通して、出会いや人の繋がりはどんどんあった方が良い、ということをつくづく感じたりしました。

これがわたしのお寺を飛び出して地域の人と繋がりをつくり始めるきっかけになりました。

まずは、父の代まで「浄信会」という名前でやっていたお寺の活動を、ご縁を結んで笑顔のある場を提供するという意味を込めた「結 – Yui – 」という名前にすべて変えたんです。

お寺の中にあった応接間を、友達と一緒にDIYでガラリと改装して「湯川寺カフェ 結-ゆい-」というカフェスペースもつくったりしました。コーヒーをお賽銭で飲めたり、コワーキングスペースとして使うこともでき、wi-fiは100台まで繋げます。イベントや小さい催しなどに貸し出しをしたり、法要のあとの休憩所としても使っていただいてます。

ここからいろんな繋がりがごろっと増えてきまして、今まで代々お寺がやってきた活動に、少しずつ手を加えていきました。

たとえば、キリストの誕生日は12月25日ですが、お釈迦様の誕生日は、4月8日。

花祭りというイベントがあるのですが、「クリスマスにはクリスマスケーキを食べるように、お釈迦様の誕生日は、ホトケーキを食べよう!」とホットケーキをみんなで焼いて食べたりしました。

このホトケーキ、全国の方がやってくださいまして、Twitterでまとめができるほど流行りました。お寺で法話を聞いて、お参りをして、偶然出会った見知らぬ人たちとホトケーキを焼くという経験はなかなかないと思います(笑)今までは50人程度だったのですが、今年の花祭りは200人ほど集まりました。

他には、縁結びをやったりもしております。この縁結びで出会ったおふたりが付き合って半年で結婚することになったという嬉しい報告もいただきました。

夏は、子どもたち向けのお泊まり会をしており、函館・お隣の北斗、各市などから子どもたちが集まりました。肝試しなんかもやったりする、楽しいお泊まり会をむかしからお寺でやっております。

秋の湯の川の一大イベントになってきましたのが、『結なごみフェスタ』。近くの湯倉神社さんと協力いたしまして、神社とお寺とまちを結ぶイベントになっております。お寺では、座禅体験をやったり、お坊さんと自由に話せたり、三味線ライブやDJなどもあったりして、青空の下でカレーを食べるカリー寺という催しもやりました。いろんなお店のカレーを用意したのですが、600食くらいがあっという間に出ました。神社の方ではマルシェを開催し、こちらも大盛況でした。今年(2019年)は、9月16日を予定しております。

参加する側もなんですが、やってる側もすごく楽しくて、やってよかったなぁと思いました。

あと、もうひとつ。

7月20日(土)、21日(日)に『夏詣ナイト』という催しを新たにすることが決まりました。お寺では、写経・御朱印帳作り・お香ワークショップを行ったり、湯倉神社にたくさんの近郊のお店に出店してもらうお祭りで、今日の会場になっているTUNEでも、ライブをやることになりました。

色々取り組みがありまして、湯の川がひとつにまとまってきています。

湯川寺-筒井章順さん

「もう一歩前へ」

これは、男子トイレによくある張り紙なんですが、こうゆうふうに書いてあると自然とトイレを綺麗に使うというか、男性の人たちは思わず一歩前に出てしまうんですね。

この張り紙とおなじように、このお寺も「一歩前へ」と思う函館の人たちが自然と集まる場になってきたなぁと最近感じております。

学生だったり、主婦の方だったり、会社を起こしてる方だったり、障害がある方だったり、近隣の方だったり…いろんな方が今、お寺に集まって、活動をしてくれています。さっきお話したように、幸福度が最下位という閉塞的な状況であるからこそ、結 – Yui – のコンセプトに共感してくださる方がすごく多かったのかなぁと思っております。

「函館で何かやりたい、繋がりをつくりたいと思うけれど、どうしたらいいかわからない」という方たちが今、お寺に集まり、お寺を使って活動をしてくれています。

最近では、わたしが発信したり行動しなくても「わたしこうゆうことやってるんです!」といろんな人がお寺に訪ねてきてくれるようになりました。そうゆう人たちに、お寺を自由に使ってもらっています。

お寺が主体でやるだけではなく、地域の人が主役になって、いろんな方に使っていただくことによって、出会いが広がり、大きな輪に繋がっていくのではないかと思っております。

今週末はたこ焼きパーティがあり、来週は市の方で男性介護者向けの会に使ってくださるのですが、函館の人たちが気持ちの面で楽しく使っていただくこと、この場所を通して函館の人たちが繋がり広がっていってくださればと思っております。

このツイートが広まりまして、33,000人(※インプレッション数)くらいの人まで広がりました。

「函館に何もないと思うのならば もっと知る努力をしてみよう」

函館に何もないという話は昔から聞くと思うのですが、今はいろんなお店もできて、いろんなものがあり、困ることはないはずです。生き方や感じ方次第だと思うんですね。

先日、まちづくりセンターのシンポジウムでお話しさせていただいた時に、登壇者だった二人の学生がこんなことを言っておりました。

一人は、ずっと函館に住んでいた学生で「函館はどこで遊べばいいんですかね。何もないよね。」と言いました。

もう一人の本州から函館にきた学生は「いやいや、食べ物は美味しいし、景色はいいし、人は優しいし、山も海もあるし、魅力的ですごいまちだよ。」と言いました。

この二人のギャップは、面白いというか、勉強になるなと思いました。視点を変えてみると、おなじまちもこのように変わります。

見えてきたものだけを見てきたら、そうなってしまうんですね。

函館に住んでる私たちが、もっと函館について考えて、知るための第一歩めを踏み出すのが大事なのだと思いました。見えてるものだけがすべてではなくて、見たことないものを知る努力をしてみよう、と。

湯川寺-筒井章順さん

「函館が楽しくないと思うなら、もっと行動してみよう」

今日、ここにいらっしゃる方は、皆さんお仕事をされてますよね?

仕事について、日本は忙しすぎると言われておりますが、忙しいという字は「心を亡くす」と書きます。仕事に追われて、心をなくしていませんか?

何も手につかないくらい仕事をしてる人も多いと思います。

やりたいことをやらないとつまらないと思うんですね。

やりたいことを見つけるための第一歩を。やっぱり人間楽しいことがないとダメですよ。

「出会いがないというのなら色々な場で自ら挨拶してみよう」

出会いの数だけ人生は面白くなるとわたしは思っております。今日、ここにいる皆さんは新しい出会いを期待して来られた方も多いと思うのですが、「和顔愛語」(わげんあいご)、笑顔と優しい言葉を大事にして、自分からまず周りの人に挨拶するのが、一番大事なことだと思っています。

「愚痴は言わず褒めよう」

ネットやテレビを見ていると愚痴や悪口が目立つ。これはなぜだろう?と考えると、自分を中心に考えているからなのだと思います。

悪口というのは、とてもいうのが簡単なんですね。思ってることを言えば良いだけで、誰でもいうことができる。

だけど、褒めるというのは、相手を意識しないとできないことで、とても難しいことです。

良いところを見つけて、褒めてあげること。相手も喜ぶし、自分自身も笑顔になれますよ。

湯川寺-筒井章順さん

わたしの話はここまでです。ありがとうございました。

それでは、このあと楽しくみんなで飲みましょう!

 

湯川寺ホームページ : https://tousenji.jp/

副住職・筒井 章順さんのTwitter : https://twitter.com/tsutsu111111/

 

開催日 : 2019年5月22日

イベント主催 : HAM

イベント会場 : Tune Hakodate Hostel & Musicbal

 

写真 野木 薫

記事作成 natte