鹿

日本各地で、増えすぎてしまった鹿が駆除されています。農作物への被害や森林などの生態系を守るために。北海道で、鹿が増えたのは、天敵であるオオカミをにんげんが絶滅させたからなのだそうです。夜道を歩いている時に、野生のオオカミの群れに襲われたらと考えると、とてもおそろしい。どちらも、人の暮らしを守るために行なわれたことなのでしょう。安全を守るために「しかたないこと」として、私たちは、それらのことを受け入れているひとがほとんどなのではないか、と思います。 野生鳥獣による農作物被害額は、近年、200億円前後で推移。全体の7割が鹿、イノシシ、サル。森林の被害面積は全国で年間約7千ha(平成28年度)で、このうち鹿による被害が約8割を占めるといいます。平成25年12月 環境省・農林水産省策定した抜本的な捕獲強化対策では、2011年に412万頭いた鹿とイノシシを、10年で半数にするという計画を立てました。そのうち、316万頭が鹿で、北海道には65万頭が生息しています。生活を守るために、私たちは、ほかの動物を大量虐殺して、安全を守っています。多くの鹿は、捨てるしかないという状況があり、鹿肉を食べたり、角や骨を加工する方法が模索されていますが、それでもまだ殺処分し、廃棄するという循環が起きています。廃棄といえば、日本の食品廃棄物等は年間2,759万トン、そのうち食べられるのに捨てられる食品「食品ロス」の量は年間643万トンと推計されており、日本の人口1人当たりの食品ロス量は年間約51キログラムです。毎日、大型トラック(10トン車)トラック約1,700台分の食品を廃棄しています。世界全体の廃棄量は、約13億トン。日本の食料自給率のうち、畜産物に仕向けられる飼料自給率は、平成30年で25%。それならば、廃棄する鹿を食べることの方が、動物を新しく育てて食べるよりは、まだましな気がする・・・そんなことを考えてしまいますが、そもそもに、やはり社会の循環システムそのものに疑問が生じます。今すぐ、ベストな答えは見つからないかもしれないけれど、よりベターな選択肢はないだろうか?を探し続けることを日常の中で忘れずいたい、と。

 

絵・文 natte