センス・オブ・ワンダー

“わたしは、子どもにとっても、どのようにして子供を教育すべきか頭を悩ませている親にとっても、「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではないと感じています。

子どもたちがであう事実のひとつひとつが、やがて知識や知恵を生みだす種子だとしたら、さまざまな情緒やゆたかな感受性は、この種子をはぐくむ肥沃な土壌です。幼い子ども時代は、この土壌を耕すときです。

美しいものを美しいと感じる感覚、新しいものや未知なものにふれたときの感激、思いやり、憐れみ、賛嘆や愛情などのさまざまな形の感情がひとたびよびさまされると、次はその対象となるものについてもっとよく知りたいと思うようになります。そのようにして見つけだした知識は、しっかりと身につきます。

消化する能力がまだそなわっていない子どもに、事実をうのみにさせるよりも、むしろ子供が知りたがるような道を切りひらいてやることのほうがどんなにたいせつであるかわかりません。”

 

センス・オブ・ワンダー レイチェル・カーソン

著書『沈黙の春』で、農薬の危険性や環境汚染への警告を告発し、環境問題への関心を呼びかけたレイチェル・カーソンが最後の仕事として書いた本です。

彼女が、姪の息子と一緒に海辺や森のなかを探検し、星空や夜の海を眺めた経験をもとに書いた作品なのだそうです。

幼い頃に養う「感じる心」は、大人になってからもずっと残っていきます。「知ること」を積み重ねてしまって、「感じる心」を忘れてしまうことがあったとしても、きっと消えることなく記憶に刻み込まれているはず。

「センス・オブ・ワンダー」

神秘さや不思議さに目を見はる感性、という意味だそうです。

小さな子どもたちが感じるみずみずしい世界を、守ってあげたい。それも大人の役割なのだと、思ったりする次第です。たとえそれが、どんなささやかなことだとしても。

 

写真 Keita Inaba

文 Natte