料理のレシピ本たち

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パスタの本 il libro della Pasta 細川亜衣

表紙の紙質とほのかに凹凸のある活版印刷のようなタイトル印字に惹かれて、思わず手にとった。前半半分はパスタの写真が並び、後半にレシピのテキストが並ぶ構成が少し読みづらいものの、たまらなく美しい。

自宅で作れる生パスタから、さまざまな種類の乾麺まで、多様なパスタのレシピが詰め込まれている。

「一皿のパスタは、ひとりの人間の人生をがらりと変えることができる。私も人生を変えられたそのひとりだ。」

人生をうっかり変えられてしまいそうな魅力のある本。

 

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ノーマの発酵ガイド The Noma Guide to Fermentation

レネ・レゼピ、デイヴィッド・ジルバー 訳・水原 文

もしも、子どもが生まれたら。子どもが小さいくて、あまり長い旅に出れないあいだに、発酵をやろう。と思い続けている。天然酵母のパンや、フルーツやハーブをつけた料理やお菓子、味噌や漬物。まるで実験のような発酵を子どもが小さな時に見せてあげたいし、一緒にやってみたい。工作や実験工房のように。

厚さ6cmはありそうな分厚い百科事典のような本。

 

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やさしいバナナのお菓子 若山曜子

発酵と一緒に企んでいるのが、お菓子作り。バナナは手軽でいい。焼き菓子から、アイスクリーム。簡単なものから手の込んだものまで、たっぷりバナナのレシピが詰まった本。

 

ふだん主に絵やデザインの仕事をしているので、アートやデザインの本や画集は飽きるくらいにたくさん眺めてきたけれど、おなじくらい好きで眺めているレシピ本のほうが、不思議と飽きない。

美や概念を鑑賞したり、生み出すことよりも、食という肉体的な本能には勝てないものなのだろうか。

芸術=ARTは、人の手による技術という意味があるけれど、

自然を扱い、科学し、美しく盛り付け、香りや色彩と共に味わう五感すべてを使う料理。作り手・流通する人・販売・消費者・食べるまで、全ての場面にドラマが溢れている。人の生み出したARTの中で、もっとも本質的で娯楽的で大衆的なものだとおもう。

本は読んだら、そのほとんどは売ってしまう、もしくは図書館やレンタルで済ませるのだけれど、なかなかレシピ本だけは手放せない。

美しい一皿の写真の奥にある、素材や、それらを育む大自然や、太古からの人の料理にまつわる歴史に胸がドキドキする。

料理の記憶は、一緒に食べた人たちの笑顔や会話と紐づいていて、そこにはにおいや色や音や感情があって、とてつもなく鮮やか。

いつか絵本のような、小説のような、エッセイのような、料理の本をつくろうと思っている。

 

絵・文 natte