“「違うこと」をしないこと”

ピクルス

“「違うこと」をしないこと” 吉本ばなな

「今を生きる」

自分を生きるっていうのは、これをすれば幸せになれるとか、これをやめないと不幸になるとか、そうゆうことでもなく、自分を生きたからって、悲しみはなくなるわけではないし、つらさが減るわけでもない。

人生は、誰にとっても、基本的につらいものだから。

それでも自分を生きていけば、生きることはきっと豊かになる。そこから開けていくひとつひとつの景色は、ひとつ残らず、あなたにしか見えない、あなただけのかけがえのないものだから。

たとえばブルーのワンピースがほしいなと思ったら、今日の帰り、あるいは週末、最悪でも年末くらいまでには、きっと手に入れられるじゃないですか。

それに「70年代のイヴ・サンローランの」とかつくと難しくなってくるけど、本当に欲しいなら、オークションで手に入れるとか、人に譲ってもらうとかすれば、遠からずかなうはず。

それが、単純に「引き寄せ」ってことですよ。

みんなやってることでしょ、気づいてないだけで。

「よし。中華食べよう」って思って、旦那さんが「俺は中華は死んでもいや」とか言う人だったら「じゃあ、友達と食べに行こう」って、ちゃんとかなえてるはず。「1000万円ほしい」だって、急にはかなわないけど、三年かけてとか十年かけてだったら、かなうかもしれないじゃないですか。

そうやって、ひとつひとつ、かなえていけばいい。

とりあえずたった今、素直に本当にやりたいこと、ほしいものは何ですか。

まずは、そこから始めていきましょう。

「神様を考える」

自分は守られている、きっといい方に進んでいる、そうゆうふうにこの宇宙はできていると確信することを、人間は、太古の昔から「神様」とか「愛」という言葉で呼んできたのかもしれない。



いわゆるパワースポットみたいなものって、わたしが思うに、ご利益がある場所というより、そんなふうに本来の自分を思い出させてくれる場所という感じがします。



どの宗教も言ってることは同じで、人間って、やっぱり、みんな、幸せになりたいものだし、肉体にまつわる欲望をそんなに助長させない方が基本的に生きていきやすいですよね。食欲とか性欲とか何でもいいけど、「欲をあんまり育てちゃいけない」って、どの宗教でも言うけど、ほんとだなって感じがします。たいていの痛ましい事件は欲から起きているし、金銭欲、支配欲、名誉欲、ほかの人を無力化させたいと言うあらゆる欲が、結局は肉体にまつわるもので、愛よりも欲の方を助長させちゃうと、生きにくくなる。



「最適」からどれくらいずれないかっていうのが、人間のできることなんだと思う。それって、情緒とか一切入り込む隙がないくらい、とってもデジタルな感じがする。




「混乱することはない、流れに乗るんだ。違うことをしてしまわないように。」

頭の中の祖父がそう言った。

「そのつど考えて、肚(はら)に聞いてみなさい、景色をよく見て、目を遠くまで動かして、深呼吸をしなさい。そして、もやもやしていなかったらその自分を信じろ。もやもやしたら、もやもやしていても進むかどうか考えてみなさい。そんなもの、どこからでも巻き返せる」

『花のベッドでひるねして』

“「違うこと」をしないこと” 吉本ばなな より

まとめ・写真 natte