“365日のほん”

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“365日のほん” title店主 辻山良雄

「数学は心で解く」といったなら、「そんな馬鹿げたことあるか、数学は頭で解くものだ」と反論されるだろう。岡 潔は、人間は頭だけでは危険な方向に向かうと常識ではなく直感でわかっていたのかもしれない。

情から入り、理に向かう。理で分けるだけでは、決して生命のよろこびには向かわない。

『情熱と想像』岡 潔

人の体には、生まれついた賢い対応力がある。それは頭であれこれと考えるよりも、ずっと《はやい》ことだ。この本では行きつ戻りつすることばで、その意識されない体の賢さを追いかける。

ただ自然にそこにある体。それは余計な考えや、それぞれの人生で生じた歪みにより、遠いものとなってしまった。

『体の知性を取り戻す』尹 雄大

アメリカで起こっている、新しい消費の波。大型チェーン店ではなく顔の見える個人商店で買う、少々値段が高くても地元で採れた食品を食べる、アナログレコードを扱う店が再び流行る……。結局のところ、「どこでお金を使うか」は、社会に対するその人の意思表明だ。その小さな消費行動には、「未来」に対する責任がある。

『ヒップな生活革命』佐久間 裕美子

 

女の戦争は戦わない。身の回りにあった、胸をときめかせてくれるものを守るために、暴力をかわす、暗いものから逃れる、ときを忘れておしゃべりする……。

男がはじめた戦争は、いつも本当にくだらない。この作品を描く作家の戦いも、そのなかには溶け込んでいる。

『cocoon』今日マチ子

 

外国がまだ遠い存在であったころ、そこでの暮らしは憧れの対象だった。聞きなれないことばに胸を躍らせ、未知の世界を想像する。

石井好子が文章で紹介したパリは、写真で見るよりもかがやいて見える。異国での暮らしぶりが収まったような、花森安治のブックデザインもかわいい。

『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』石井好子

 

 

東京の荻窪で、Title(タイトル)という本屋さんを営んでるという辻山良雄さんが、365冊のほんを選び、紹介文を書いた本です。やさしくリズミカルな紹介文を読んでいるだけでも楽しい。本との出会いは、人の出会いとおなじようなものだという気がしています。東京に行ったら、辻山さんの営む本屋さんにも行ってみたくなりました。ポケットサイズで表紙のイラストもかわいい「365日のほん」、おうちで寝る前にベッドでころころしながらページをめくりたい、そんなほんです。

“365日のほん” title店主 辻山良雄

 

絵・文 natte